基本的なPA関連のセットについて

音響の基本はいかなる場合においても、その縛りを受けるので、簡単といえば簡単だ。
むしろ、その基本さえ抑えておけば、誰でもまがいなりにも音声を出す、ということは可能になる。
内部機構について語ると長くなるが、実質的にいじる部分はとてもシンプルで、かつ、何よりも楽だ。
しかしながら、きれいに音を出したり、観衆に対して不快感を与えるような音声を出さないように工夫するとなると、かなりの能力が要求され、また、それができるかどうか、観客が自然にイベントを楽しむことができるかどうかが、腕のいい技術者かどうかという判断基準になる。
何らかの問題点が浮上することなく、すべて終了させることは難しいものの、問題点が浮上していることを観客に悟られないようにすべてを完遂するということが、一番重要である、と、私は思っている。



基本的な事項

業務用音響機器だけでなく、民生用の音響機器であっても基本は変わらない。
通常何らかの音を録音してある媒体、またはその入力ソースでもよいのだが、それを外部に別の電気信号へと変換し、スピーカーを通じて発声させるという基本は、いかなる場合であっても変化しない。
つまり、それさえ基本として抑えておけば、セットだけなら幼稚園児にだって組むことはできる。
それすらできないのは、単に技術を学ぶ気力のない人間か、極端な話を言ってしまえば幼稚園児にも劣るような人間であるということだ。




必要なものは以下のとおりだ。

  • 1.音を出そうとするソース

音の波形を含む電流をを発生させようとするソースとも言い換えることができる。
全ての音声や映像は電気信号であるがために、なんらかの電気コードであっても、プラグや周波数帯が合うならばそれだけで互換可能であるということも覚えておくといいだろう。(一例として、過去にスピーカーケーブルの緊急代用品として、通常の電気コードを利用したことがある。音声はすさまじく悪くなったものの、音が出ないという最悪の事態だけは避ける事ができた。本来ならばこのようなことはすべきではないし、音の悪さというのは恥ずべきことであるのだが、それを差し引いたとしてもその必要性があったのだ。しかし、やはり専用ケーブルに勝るものはなく、単なる電気コードでは代用にはなりえても、それは、きれたヒューズの代わりに針金を利用するほどのひどいものであるということを認識しておく必要がある。)
この、音を出そうとするソースには、ご存知のとおりCDであったりDATであったりMDであったり、まあ、業務用になるとMTRであったり色々とあるのだが、最近ではPCから直接送信ということも考えられるし、案外便利なipodなどのmp3再生機器という手もあるだろう。これらは全てにおいて、格段の指定がない限りLine扱いだ。
Micを利用する場合は、過去に記述したようなコンデンサマイクダイナミックマイクか、それともワイヤレスマイクなのかを確認しておく必要性がある。通常、屋外で利用する場合は、ワイヤレスマイクを多様したいのだが、ワイヤレスマイクである場合、叫ぶ人間に対して一々gainつまみがある場合は対処できるが、それ以外の場合は対処がなかなか難しいという現状がある。
そのため、叫ぶと思われる人間がいると思われる場合、また、歌唱を行ったりする場合においては、あらかじめダイナミックマイクをあてがう必要性があるだろう。
ワイヤレスマイクの入力側に電流を抑制するために抵抗をかませればいいのではないか、という考えもあるのだが、それはいかんせんNoだ。実用的ではない。
実用的ではないとする理由としては、結局ワイヤレスマイクをとりまわすときに、叫ぶ人間でないものがワイヤレスマイクを利用した場合に抵抗がかかったままであったりした時、普段よりも大きい声でマイクに向かって話をしなければならないということがあるためである。
ワイヤレスの場合は受信機からLineに入力することとなる。
Micであれば、Micの-60から-20だ。
叫ぶ人間がいる場合は初めから40程度にしておくと、楽にmixできるだろう。

  • 2.信号を増幅し、スピーカーに対して電力を供給するもの

アンプ。
これには、スピーカーの出力に応じて必要となる。
つまり、スピーカーへの出力内容があまりにも強大すぎると、アンプは発熱し、ヒューズがとんだり熱暴走(のような状態になって、冷却が終了するまでまったく反応しなくなることがあった)することもあるので、そういった点に注意して、最適なものを用意してやることが必要である。


業務用のアンプであれば、多少のスピーカーへの供給W数が足りていなくてもそれだけでも十分利用することは可能であるし、また、そういった用法で利用していても、多少使うくらいではまったく問題がない。
長時間屋外で利用するときに注意すべきことは、アンプを酷使しすぎないということであったりする。


唐突に音が出なくなる理由として考えられるのが、アンプ関係のトラブルだったことが多く、その経験則からそういうことがいえるのだが。



  • 3.スピーカー

業務用のスピーカーであれば、数十Wなんていうものではなく、百何十Wとか場合によっては300や400といったものになることもある。大きければ大きいほど大きい音もなるが、アンプに対しても負荷がかかるということを念頭においておかなければならず、あまり巨大なものを用意したところで場所にそぐわない音量でながしたり、取り回しにくいときにはそれは本末転倒である。
大体160W程度のスピーカーを3台程度、240W程度のものを1台、あと180Wくらいのものを1台程度補助として導入すると、たいてい深草中高の中庭では十分なほどの音量を出力することが可能となる。
アンプは合計2台必要となるが、2台ではかなりきつい場面も存在しているので、3台目を用意するかどうかは各人の判断に任せるが、3台目を用意したところで音声の分配をしなければならないので、もしも3台目を用意するならば、分配器も用意しておかなければならない。
音量の配分も考えなければならないため、そういった点については技術者間で話し合う必要性がある。



  • 4.ミキサー

屋外で何らかのものを流す場合には、通常ソースとアンプの間にミキサーを通す。
単に音量の調節も必要がなく、適当に流すだけでいいという場合には普通に直接つなげばよいが、そんな無謀なことは避けたいし、普通は避けるだろう。
あまり巨大なミキサーをもっていっても仕方がないのだが、必要性に応じてミキサーは選びたい。
できることなら、場面に応じて多数のシーンをメモリーしておくことのできるような、デジタルミキサーを用意したいところだが、なければ直接アナログでやってしまってもいい。



  • 5.電源

電源の確保は結構重要だ。
なぜならば、セットや調整をする場所から離れた場所に電源があった場合、電源をその場まで引いてこなければならず、つまり、その電源はどこを通すか、ということが問題になってくるからだ。
観客の足元を通すことだけは避けたい。
なぜなら、引っ掛けられたときに断線したり、けが人が出る可能性も考えられ、へたをしたら機材の破損にもつながるためである。

実質的に電源は大量にあればあるほどよい。
しかしながら、先ほども述べたように、電源箇所からの電線の通貨位置を特定することのほうがよほど重要で、実質的にはその内容に関してイベント運営側との綿密な打ち合わせが必要となるだろう。